突然ですが、こんな疑問を持っていませんか?
お肉を食べることが、なぜ環境破壊に繋がるって、ピンとこない...
最近「ヴィーガン(完全菜食主義者)」という言葉をよく聞くようになったのは何故?
そんな方のために、本記事では...
NETFLIXドキュメンタリー「COWSPIRACY:サステイナビリティ(継続可能性)の秘密」を通して、「なぜ肉を食べることが環境破壊につながるのか?」について考えました。
2014年製作 NETFLIXで視聴可能
製作国:アメリカ 上映時間:85分
≫ NETFLIXでのご視聴はこちらから
≫ Filmarksの評価はこちらから
自身の体調のためにヴィーガンを選択する人もいる一方で、環境保護を考えて肉食を止めたという人も増えてきています。
最後には、オススメのヴィーガン食についても触れていますので、ご自身の身体と相談しながら取り入れてみてくださいね。
\ヴィーガンは食事だけじゃない/
地球環境悪化の原因:畜産業
畜産業は、水の無駄遣いや車の排気ガスよりも環境に悪い?
ご存じのとおり、気温上昇は地球全体に大きな影響を及ぼします。
海面上昇で国全体が沈んでしまったり、大規模な干ばつで食料が供給できないと、人間同士の争いにつながる可能性もあります。
また、遠くない未来に、恐竜の絶滅以来の大規模な種の絶滅が起きるとも言われているのです。
何かしなければ!と思って、シャワーや歯磨き、皿洗いの節水、カーシェアリングや自転車での移動、リサイクルの徹底をしているけど…地球の環境は悪化するばかり。
なぜでしょう。
実は、環境に圧倒的な悪影響を及ぼす問題が他に存在するからなんです。
それが、私たちが肉を食べるために行われる「畜産業」。
水の無駄遣いや車の排気ガス等と比べものにならないくらい環境に悪いと知っていましたか?
国連の報告によれば、温室効果ガスの排出量は運輸関係より畜産業でもっと多いらしいのです。
畜産のために発生した温室効果ガスは、乗用車、トラック、鉄道、船や飛行機を合計した排出量を上回ります。
家畜は大量のメタンを排出していて、その影響力はなんと車両の86倍!
それだけでなく、環境破壊につながる資源を消費しまくっています。
畜産業で排出される亜酸化炭素は、二酸化炭素より厄介者?
先に挙げた通り、「環境に悪いもの」と聞いて思いつくのが、車や飛行機などの運輸関係。
でも、運輸と畜産だと、そもそも主に排出しているものが違います。
運輸関係は大量の二酸化炭素を排出、
畜産業は大量の亜酸化炭素を排出します。
地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)※でいうと、亜鉛華炭素は二酸化炭素の296倍。
※二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字のこと。
たしかに、こんな状況なのに化石燃料の話ばっかり…なのは違和感がありますね。
世界銀行の専門家が温室効果ガスの調査を行ったところ、二酸化炭素やメタンの吸収源(森林など)の減少を考慮した上で、人間が起こす温暖化原因の51%が畜産になるそうです。
畜産業が及ぼす、環境への悪影響
畜産業の影響① 熱帯雨林の破壊
家畜の放牧とその餌を育てるために、熱帯雨林の破壊が進んでいます。
毎秒アメフト場ほどの広さが失われていて、これによって毎日100に及ぶ植物や動物、昆虫の種が絶滅している!
ちなみに、森林破壊の大きな原因として常に取り上げられる「パーム油」と比べても、畜産業が与えるダメージは大きいです。
パーム油のために伐採された森林の面積は10平方キロなのに対し、畜産業ではこれまでなんと55万平方キロの熱帯雨林が失われています。
森林を伐採して家畜を放牧し、家畜の餌にするための遺伝子組み換えの大豆を育てる…アマゾンの熱帯雨林が消失してきた理由の91%は、家畜の飼育だと分かっています。
畜産業の影響② 水と農作物の大量消費
畜産業に使用する水の消費量、想像がつきますか?
人類は毎日200億リットルの水を飲むけれど、牛は1700億リットルの水を飲むんです。
しかも、牛だけで!
つまり、ハンバーガー1個つくるのに、2500リットルが使われていることになります。
これって、2か月間シャワーを浴び続けることと同じことなんです!!
個人の節水は当然だとしても、まず畜産業の現状を見直す必要がありそうですね。
また生産の過程で、水の消費量が多い穀物を餌として使っているのも問題。
人間が約10億の食料を食べるのに対して、牛は600億キロ近い餌を食べます。
世界では10億人も飢饉に苦しんでいるのに、農作物の半分は家畜の餌用なのです。
飢えで苦しむ子供たちの82%は畜産業が盛んな国々で生活しています。
そして作られた製品は先進国に送られる…。
水不足や食糧難は、人間が増えすぎたのが問題という人もいますが、人間が食べる動物が真の問題では?
畜産業の影響③ 種の絶滅
1万年前の生物数の99%は野生生物で、残り1%が人間。今では、人間+人間の所有物として存在する動物が98%で、野生生物が2%。
わずか1万年で、完全に逆転しているのです!
人類は野生生物から地球を完全に奪い取り、家畜を育てるために使っているわけですね。
例えば、アメリカ政府は畜産業のために野生の馬を捕まえて土地を奪っています。
政府が「土地」を野生動物と畜産業に割り当てるそうで、畜産農家が公共の土地をかなり安く借りている状況にあります。
当然家畜に多くの土地が与えられて、野生動物の居場所が奪われていくのです。
実際、野生に生息する数を超える5万頭以上の馬が収容施設に入れられています。
家畜を狙う動物も殺されていきます。
牧場から連絡を受けた農務省が、航空機を使って上空から銃殺しているのです。
畜産業のロビイストたちはとても力があって、畜産業のために野生の動物が殺され続けています。
畜産業の影響④ 低酸素海域の拡大と乱獲
低酸素海域「デッドゾーン」の一因
「海に良くないこと」と聞いて皆さんどんなことを想像しますか?
生活用水で溶けきれない有害物質、とか土に溶け込んだ除草剤、とかそんなところではないでしょうか?(私がそうでした)
実は単純に水質が汚染されるということ以外にも、海中の酸素濃度が下がって生物が生きられなくなる「低酸素海域」が大きな問題になっています(参考)。
世界中の海で500か所以上の酸欠地域を生み出しているのが陸の畜産業。
25平方キロの海域で生物が死滅していて、海の状況を議論するにも、まず畜産業に目を向けるべきだというのです。
漁業の問題:乱獲
国連によると世界の漁場の4分の3は乱獲による影響を受けています。
漁業では9000万トンの需要を満たすべく、大型の網が使われています。
1キロの魚を釣るごとに、5キロもの不要な動物(イルカやクジラ、ウミガメやサメなど)もついでに捕まえられて無駄に殺されているんです。し、知っていましたか?
そうして数が少なくなり、ある種が絶滅すると、漁業は代わりになる魚を乱獲しはじめるわけなので…止まることを知らない絶滅の連鎖です。
畜産業が隠す「不都合な真実」
世界的な環境保護団体の沈黙
ドキュメンタリーでは、畜産業の問題点に触れていますが、350.org、グリーンピース、シエラクラブ、アマゾン・ウォッチ、クライメイトリアリティ…どの主要保護団体もこの事実に触れていません。
本編では畜産業が環境に与える影響ついて、政府や環境保護団体に直接問い合わせています。
- 何故、畜産業が水の消費の大半を占めている、という事実を政府のサイトに載せないの?
- 肉の消費量を減らすよう呼びかけるのが一番ではないか
でも誰も話したがらない感じ…。明らかに何か隠している。
この辺について、ドキュメンタリー中で関係者の考えが紹介されていましたので引用します。
「その多くは会員制の団体で、会員数は可能な限り増やしたいと考えている。大勢が共有する習慣に反する主張をしてしまうと資金集めに影響が出るからだろう。
マイケル・ポーラン(環境作家/食作家)|Michael Pollan, Environmental and Food Author, “The Omnivore’s Dilemma”
ウィル・タトル博士(環境作家/倫理作家)|Dr. Will Tuttle, environmental and ethics author
「環境破壊の主な原因は明らかに畜産業なのに、それに目をつぶるのはビジネスに支障が出るからだ。安定した資金源のため。」
K・R・スミス博士(カリフォルニア大学国際環境衛生学教授)|Kirk R. Smith, MPH, PhD., University of California Berkeley, professor of global environmental health
「数年前アル・ゴアを招いて対談したとき、メダンの話題には大反対された。人々を混乱させるな、と言い出してね。」
元アメリカ副大統領・環境活動家であるアル・ゴアが書いた、地球温暖化に関する書籍『不都合な真実』は世界的大ヒットとなりましたよね。
暴風雨や山火事、記録的な干ばつや氷冠の消失等の気候変動が地球に危機をもたらすと書かれています。
この本もまた、別の不都合な真実を隠している…のかもしれませんね。
マイケル・ブザンソン(ホールフーズ・マーケット社元幹部)|Mivhael Besancon, Former WHOLE FOODS MARKET Executive
「多くの団体がその点に触れないようにしている。団体の生き残りを考えてのことだ。資金源の確保に最新の注意を払っている。
デモステネス・マラトス(モロイ大学サステナビリティ研究所)|Demonsthenes Maratos, the Sustainability Institute at Molloy College
「大きな団体ほど会員に多くを求めない。現状を維持したままで、電球交換や自転車通勤やリサイクルを勧めるだけ。資金と評判を保つには、限られた範囲で活動する方がいい。」
畜産業のロビイストたちの絶大なる権力
アメリカの場合、畜産農家が負担しない経費の総額は4140億ドルにものぼります。
つまり、国民が知らず知らずのうちに、環境破壊や動物の大量虐殺、漁場の破壊のためにこれだけの額を負担しているということ!
畜産業に関わる誰かが、政府になんらかの圧力をかけているのだろうとされています。>
ちなみに、畜産業界のロビー団体の職員(家畜賛成側の人たち)にもインタビューしていました。
「畜産業界は環境団体に経済的な支援をしていますか?」核心をついた質問を投げているものの、回答できないと言われています。
とにかく、あらゆる企業に影響を及ぼしうる「畜産業」が、地球上でもっとも権力を持つ業界であることは間違いなさそうですね。/p>
畜産業を批判した人の多くが殺された
ブラジルで起きた一連の事件もまた、畜産業の悪影響が隠され続ける一因として触れられていました。
なんと、畜産関係のロビイストや畜産業などを批判し声を挙げた人々の多くは殺されたんです。
ホセ・カルロスや修道女のドロシー・スタング(Sister Dorothy Stang)等は「牛の放牧がアマゾンを破壊する」と声を挙げて殺されたんだそう。(牧場主が殺し屋を雇ったらしい…。)
過去20年、ブラジルで殺された活動家は1100人以上にのぼります。
権力によって、畜産を批判することは難しい状況にあるようです。
そんな中公開されたドキュメンタリーに感謝します。
私たちは命を食べている
ドキュメンタリーの終盤では、実際に鴨をしめる場面もありました。
食肉用の鶏は生後42日で殺されます。卵のために飼育されている鶏は、産む数が減り始めると殺されるそうです。(大体18~20か月の場合が多い)
平飼いでもなんでも関係ないですよ、最終的には同じ。
結局殺されるのは事実なんです。
「平飼い」という言葉で罪悪感が減るとしたら、それは間違いです。
乳牛と子牛は生後2日ほどで引き離されます。
子牛はメスならそのまま育て、オスは食肉用の施設に送ります。
そして衰えた乳牛も、食肉用に。
ここまで数字を並べ立ててたくさんの情報を得ましたが、何よりこういったことに心が動かされました。
自分自身も植物性の製品を積極的に取り入れて、エシカルな選択をしたいと思いました。
私たちは一体どうしたらいいのか【ヴィーガン食品のススメ】
「今の」人間の需要を満たすのはほぼ不可能
結論、サステナブルなやり方で、今の人間の需要量を満たすのは不可能。
まったくもって持続不可能な持続可能性です…。
牛は平均で毎日60~70キロの餌を食べます。水はなんと150リットル。
約250等の乳牛に必要な1週間飼料は20トンほど。1リットルの牛乳のために1000リットルの水を使うんです。
どうやったらサステイナブルになり得るでしょうか。
まずは、食肉消費に対する意識を変えることしかできないでしょう。
おすすめのソイミート
今は日本でも、十分おいしいソイミートが普及しているので助かります。
おすすめの代替乳製品
牛乳の代替品については以下の記事で詳しく解説しています。
また、バター代替品はこちらのオーガニックココナッツオイルがとってもオススメ!
ちゃんとバターのような味がするし、常温保管OKで便利!
夫はバターじゃないことに気づいてすらいなかったです。笑
たんぱく源として考えれば、植物系の方が食肉より14倍も多く生み出せるそうですよ。
肉を食べないことで不足する栄養素ってほとんどないんだとか
自分が納得いくものを、少しずつ取り入れていけたらいいな~と思った筆者でした。